GT-Rの歴史

最速のエンブレム「GT-R」、特別な1台としての宿命

スカイラインを語るうえで忘れてはいけない「GT-R」というキーワード。
スポーツカー好きな方なら1度は憧れ、乗ってみたいと思った車ではないでしょうか? そんなGT-Rの魅力、また誕生した時代背景などをスカイライン・GT-R買取日本一を目指すスマイルワークスがご紹介します。

第1世代GT-R ~歴史はハコスカから生まれた~
世代ごとに魅力的なGT-Rですが、「GT-R」という名前を高性能スポーツの代名詞にしたのは、1969年に発売されたハコスカGT-Rであり、レースでの活躍にほかなりません。
そのはじまりは、第15回東京モーターショー(1968年)に出展された「スカイラインGTレーシング仕様」でした。

プリンス時代からレースシーンで活躍してきたスカイラインですが、その血統を引き継いだのが初代ハコスカGT-Rです。
日本初のプロトタイプレーシングカー「R380」に搭載されていたレース用エンジン「GR8」を公道仕様にデチューンし、ハコスカに搭載したのがはじまりです。
4ドアセダンボディにレーシングエンジンを搭載したハコスカGT-R(PGC10)は、「羊の皮を被った狼」というキャッチフレーズとともに大人気に。
そしてハコスカのマイナーチェンジでクーペボディが追加され、GT-Rはセダン(PGC10)からクーペ(KPGC10)に変更となりました。

発売と同時に開始したレース活動では、1969年の「JAFグランプリレース」でデビューウィンを飾り、1972年の「富士GCシリーズNo1富士300キロスピードレース」で高橋国光が全車周回遅れで優勝&GT-R通算50勝目を獲得。
GT-Rのレース神話とともに、「GT-R」は高性能な国産車の代名詞となり、その後の国産スポーツの歴史を作ったといってもいいでしょう。
また、ハコスコGT-R自体の生産台数は1945台(PGC10が832台/KPGC10が1197台)ですが、その姿に憧れた若者たちの間ではGT-R仕様にチューン&カスタムすることが定番になりました。

1969~1972年 スカイライン2000GT-R ~PGC10/KPGC10~
ハコスカGT-Rは、主に前期型のPGC10(4ドア/1969~1970年)と後期型のKPGC10(2ドア/1970~1972年)に分けられます。
エンジンはレーシングスペックの直列6気筒DOHCユニット「S20」を搭載。
スペック
全長×全幅×全高 4395×1610×1385mm(PGC10)
4330×1665×1370mm(KPGC10)
ホイールベース 2640mm(PGC10)
2570mm(KPGC10)
車重 1120kg(PGC10)
1100kg(KPGC10)
エンジン S20
ボア×ストローク 82×62.8mm
排気量 1989cc
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kgm/5600rpm
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーディングアーム
駆動方式 FR
トランスミッション 5MT

1973年 スカイライン2000GT-R ~KPGC110~
ハコスカGT-Rに続き、ケンメリ(C110)でもハードトップ2000GTをベースにGT-Rが発売されました。
エンジンはハコスカ同様S20が搭載されましたが、昭和48年の排ガス規制をクリアできずレース参戦しませんでした。
また、生産期間は4カ月と短く、わずか197台のみが生産・販売されただけの幻の車両です。
標準車両と比較すると、専用ラジエターグリルや前後オーバーフェンダー、リヤスポイラーなどが特徴です。
スペック
全長×全幅×全高 4460×1695×1380mm
ホイールベース 2610mm
車重 1145kg
エンジン S20
ボア×ストローク 82×62.8mm
排気量 1989cc
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kgm/5600rpm
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーディングアーム
駆動方式 FR
トランスミッション 5MT

第2世代GT-R ~RB26+アテーサE-TS~
ケンメリGT-Rから16年の時を経て復活したのがBNR32スカイラインGT-Rです。
今でも現役の名機RB26DETTに加え、FRをベースに走行条件に合わせて駆動力を可変させる4WDシステム「アテーサE-TS」、走行安定性を高める四輪操舵システム「スーパーハイキャス」など、当時最新のデバイスが盛り込まれています。

その高い走行性能はレースシーンだけではなく、チューニングシーンも大きな衝撃を与えました。
特にRB26DETTはブーストアップで400ps、タービン交換で600psという許容量を誇り、チューニング文化の黄金時代がはじまるきっかけに。
その後に続くBCNR33、BNR34でもこれらのデバイスは引き継がれ、精度を高めていくことでGT-Rの新時代を築いていきました。

また第2世代GT-Rは、さまざまなグレード、特別仕様車が発売されたことでも有名です。
定番の「Vスペック」やN1耐久レース向けモデル「N1」、そのほかニスモやオーテック仕様などが有名です。
こちらではスペック比較、グレードや特別仕様車などをご紹介します。

1989~2002年 スカイラインGT-R ~BNR32~
全日本ツーリングカー選手権(JTC)のレギュレーションに合わせて開発された、GT-R専用設計の直列6気筒ツインターボエンジン「RB26DETT」を搭載し、専用のアルミ鍛造ホイールや前後ブリスターフェンダー、軽量なアルミフェンダー&ボンネットなどを装備。
モータースポーツを前提に開発された車両だけに耐久性が高く、またコンパクトなボディサイズは今でもチューニングベースとして人気の高い1台です。
スペック
全長×全幅×全高 5454×1755×1340mm
ホイールベース 2615mm
車重 1480kg
エンジン RB26DETT
ボア×ストローク 86×73.3mm
排気量 2568cc
最高出力 280ps/6800rpm
最大トルク 36.0kgm/4400rpm
サスペンション前/後 (FR)独立懸架マルチリンク
駆動方式 4WD
トランスミッション 5MT
グレード/特別仕様車

R32と共に登場した、新時代のスポーツカーたち

昭和から平成に変わった1989年、R32スカイラインが誕生しました。
時を同じくしてフェアレディZや180SX、レガシィ、CR-X、ロードスター、MR2といった次世代を担うスポーツカーが登場。
さらに翌年の1990年にはNSX、1991年にはRX-7(FD3S)、1992年にはインプレッサやランサーエボリューション、1993年にはスープラ(JZA80)といった新世代スポーツカーが相次いで発売。
1989年を境に国産スポーツの性能やスタイリングは大きく変化しました。
N1

N1耐久レース参戦向けに生産されたモデル。
軽量化や快適装備の排除に加え、フロントバンパーのダクトやブレーキの風導板追加、タービンのホイール素材の変更などが加えられています。
Vスペック登場後は、ベース車両をVスペックにした仕様も一部存在(VスペックN1)。
Vスペック

グループAレース3年連続優勝を記念して設定されたモデル。
アクティブLSDやアテーサE-TSの最適化(アテーサE-TS PRO)、17インチBBSホイール、ブレンボ製ブレーキシステムなど、主に足まわりが強化されました。
VスペックII

グループAレース4年連続優勝を記念されたモデルで、変更点はタイヤサイズの変更のみ(225/50-17→245/45-17)。
GT-R NISMO

特徴的なフロントのインテークダクトが印象的なニスモ仕様。
グループAの車両公認取得のために生産されたモデルで、市販されたのは500台のみ。
変更点としては、サイドシルの大型化やリヤスポイラーの変更、タービンホイールの材質変更、その他レース仕様として軽量化などが実施されています。
HKS ZERO R

「270km/hオーバーでの巡航性能、快適性、保管基準適合」をテーマにチューニングパーツメーカーHKSが開発したコンプリートカー「ZERO R」。
チューニングメーカーが本気で作ったコンプリートマシンとして、当時注目を集めたマシンで限定10台のみが販売されました。

1995~1998年 スカイラインGT-R ~BCNR33~
BNR32の基本コンセプトはそのまま、より高性能化を進めたBCNR33。
BNR32からさらにブーストを高め、最大トルクを36.0kgmから37.5kgmに向上。
また、BNR32ではVスペックのみに採用されていたブレンボ製ブレーキキャリパーやアクティブLSDを標準採用するなど、ベースアップが図られています。
スペック
全長×全幅×全高 4675×1780×1360mm
ホイールベース 2720mm
車重 1530kg
エンジン RB26DETT
ボア×ストローク 86×73.3mm
排気量 2568cc
最高出力 280ps/6800rpm
最大トルク 37.5kgm/4400rpm
サスペンション前/後 (FR)独立懸架マルチリンク
駆動方式 4WD
トランスミッション 5MT
グレード/特別仕様車
Vスペック

BCNR33では、Vスペックも標準車と同時に発売。
基本的な違いは、BNR32同様にアテーサE-TS PROの採用などです。
Vスペック N1

VスペックをベースにN1レース仕様にカスタマイズされたモデル。
セラミックタービンからメタルタービンへの変更や専用ピストンの採用、コンロットベアリングの材質やカムプロフィールの変更などが加えられています。
そのほか、エアロパーツもN1専用となります。
LMリミテッド

ル・マン24時間耐久レース参戦記念として発売された特別仕様車。
専用色のチャンピオンブルーが用意され、そのほか角度調整機能付きカーボンリヤスポイラー、インテークダクトを追加したフロントバンパー、フードトップモールなどを装備。
約2カ月間のみ販売されました。
また、VスペックをベースにしたLMリミテッド仕様「Vスペック LMリミテッド」も設定。
オーテックバーション 40 th ANNIVERSARY

スカイライン生誕40周年を記念して発表された4ドア仕様のBCNR33。
一見すると4ドアのGTSベースに見えますが、2ドアボディにドアを追加した正真正銘GT-Rです。
型式は「BCNR33改」となっており、生産台数は442台となっています。
NISMO 400R

ニスモが開発したコンプリートカーで、最大出力400psから「400R」と名付けられています。
限定99台で販売され55台を生産。
エンジンはレイニックが開発した2.8L仕様「RB-XGT2」で最大出力400psを発生します。
また、ごくわずかですが、「オーテックバーション 40 th ANNIVERSARY」をベースにした車体も存在します。
NISMO GT-R LM

当時のル・マン24時間耐久レースの規定で、必ず1台以上はベース車両を登録する必要があったため作られた1台だけの車両。
現存する1台は日産の座間記念車庫に保管。
イベントなどで展示されることもあります。

1999~2002年 スカイラインGT-R ~BNR34~
直線を貴重にしたボディラインに加え、BCNR33から全長で75mm、ホイールベースで55mmサイズダウンした第2世代最後のGT-R。

タイヤ&ホイールは18インチ化され、ミッションはゲトラグ製に変更。
テンションロッドなどをアルミ鍛造製に変更するなど、耐久性と軽量化のために各部に大幅な仕様変更が加えられました。
スペック
全長×全幅×全高 4600×1785×1360mm
ホイールベース 2665mm
車重 1560kg
エンジン RB26DETT
ボア×ストローク 86×73.3mm
排気量 2568cc
最高出力 280ps/6800rpm
最大トルク 40.0kgm/4400rpm
サスペンション前/後 (FR)独立懸架マルチリンク
駆動方式 4WD
トランスミッション 6MT
グレード/特別仕様車
Vスペック/VスペックII

BNR32、BCNR33同様、BNR34でもVスペックが設定されました。
アクティブLSDやアテーサE-TS PRO、アドバンスドエアロシステムなどを装備。
また2000年のマイナーチェンジで登場したVスペックIIではNASAダクト付きカーボンボンネットなどが追加されました。
N1

従来同様にN1耐久レース参戦用に販売されたモデル。
N1仕様エンジンやメタルタービンのほか、快適装備が取り外され軽量化が施されています。
ミッドナイトパーブルII/ミッドナイトパープルIII

BNR34の発売を記念して300台のみ(Vスペック含む)が生産されたミッドナイトパーブルIIは、光の当たり方で変化する限定カラー「ミッドナイトパーブルII」が特徴です。
その後に限定発売されたミッドナイトパープルIIIでは、さらに光沢感がアップしました。
Mスペック

走りのBNR34ですが、足まわりのセッティング変更や本革シートの採用によって乗り心地と高級感をプラスしたグレードです。
VスペックII Nur/MスペックNur

GT-Rが幾度となくテストを繰り返してきたドイツのニュルブルクリンクサーキットの名前を冠した限定モデルがVスペックII NurおよびMスペックNurです。
強化シリンダーやピストンなどが組み込まれたN1仕様のエンジンを中心に、各部にレース用ベース車両N1のパーツが組み込まれ、300km/hスケールのスピードメーターを装備。
VスペックII Nur/MスペックNurともに各1000台限定で販売されました。
NISMO R34GT-R Z-tune

ニスモがBNR34(Vスペック)をベースに開発したコンプリートカー。
ニスモの創立20周年を記念したモデルで、当時の販売価格は1774.5万円、限定20台で生産・販売されました。
専用のクランクやコンロッドなどが組み込まれ、IHI製ボールベアリングタービンが装着されたRB26DETT改Z2エンジン(2.8L仕様)を搭載。
そのほかにもエンジンから足まわり、ボディまでニスモの手によって徹底的にモデファイされた特別仕様車です。

第3世代GT-R ~究極のロードゴーイングカーへ~
スカイラインシリーズから独立し、2007年に登場したのがR35 GT-Rです。
R35では専用設計のシャーシに加え、新設計のV6ツインターボ3.8Lユニット「VR38DETT」が与えられ、プレミアムスポーツとしてヴェールを脱ぎました。
また、毎年進化するイヤーモデル制を採用していることも特徴で、2007年に発売されたモデルで480ps、最新モデルでは550ps、ニスモ仕様では600psを発生します。

当初はタイヤ交換すら日産パフォーマンスセンターでしかできないという問題がありましたが、現在では多くのアフターパーツメーカーやチューニングショップが独自メニューなどを展開。
早くからR35を手掛けていたアフターパーツメーカー「HKS」は、GT600レーシングパッケージ/GT800レーシングスペック/GT1000レーシングスペックなどのメニューを用意し、トラストは1000ps+FR仕様のR35をドリフトシーンに投入したことでパワーウォーズは加速。
その他にも多くのショップが開発を進め、サーキット/ドリフト/ゼロヨン/最高速などでR35の速さを見せつけています。

2007年~ GT-R ~R35~
GT-R伝統の丸目4灯テールランプや4WDシステムは継承しつつ、世界のスーパーカーと比べて対等以上の走りを実現する性能、そしてどんな環境でもその性能を発揮できる究極のプレミアムスポーツとして誕生したR35 GT-R。
VR38DETTユニットは、ノーマルでも出力500ps前後、トルク60kg,m以上、チューニングによって1000psを狙えるポテンシャルを秘めています。
スペック
全長×全幅×全高 4670×1895×1370mm
ホイールベース 2780mm
車重 1740kg
エンジン VR38DETT
ボア×ストローク 95.5×88.4mm
排気量 3799cc
最高出力 550ps/6400rpm
最大トルク 64.5kgm/3200~5800rpm
サスペンション前/後 独立懸架ダブルウィッシュボーン/独立懸架マルチリンク
駆動方式 4WD
トランスミッション 6AT
※2014年、ピュアエディションのスペック
グレード/特別仕様車
スペシャルエディション

プレミアムエディションをベースに、全世界100台限定で発売されたモデルです。
ドライカーボン製リヤスポイラーやレイズ製軽量アルミホイールを装着。
特別カラー「ミッドナイトオパール」のボディが特徴です。
45th Anniversary

2015年に限定45台で販売された特別な1台。
プレミアムエディションをベースに、BNR34 Mスペックと同じ特別カラー「シリカブレス」を採用し、より上質な大人のGT-Rとして登場しました。
SPEC V

専用チューンのエンジンに加え、一時的に最大トルクが上昇する「ハイギヤードブースト」を搭載し、ブレンボ製カーボンセラミックブレーキを採用し、走りの性能に磨きをかけたモデル。
2シーター化や軽量化が加えられ、NISMOクラブスポーツパッケージと同様にレイズ製鍛造アルミホイールやレカロ製カーボンバケットシート、チタンエキゾーストシステムなども装着した豪華な仕様になっています。
Club Track edition

サーキット走行専用に販売されたモデルで、ナンバーの取得不可というストイックなモデル。
購入の際には入会金100万円、年会費200万円の「The Prestige Club of GT-R」への入会が必須です。
EGOIST

2011年に登場した、インテリアカラー20種類から自分だけのスタイルを選択できるモデルがEGOIST(エゴイスト)です。
カラーオーダーできるインテリアパーツは、ドイツの職人が1品1品手作業で行うというこだわり。
そのほか、BOSEプレシジョン・サウンドシステムなど上質な空間を構築。
走行面でもSPEC V同様のパーツが組み込まれています。
NISMO N Attack Package
2013年にドイツ・ニュルブルクリンクサーキットで、この時点で市販車最速ラップタイムとなる7分8秒679を記録したニスモ仕様のGT-R。
そのタイムアタック仕様のパーツを組み込んだモデルが「NISMO N Attack Package」です。
スペックはレース車両「GT-R NISMO GT3」と同じGT3タービンを採用し、最高出力600ps、最大トルク66.5kgmを発生。
そのほかにも各部にモデファイが加えられています。