スカイライン伝統の直列6気筒エンジン
~RB20/25/26徹底解剖~
スカイライン伝統の直列6気筒エンジン
~RB20/25/26徹底解剖~
ハコスカやケンメリに搭載され、頑丈さとイジりやすさから人気を博したL型エンジン。
そんなL型の後継となる直列6気筒ユニットが「RBエンジン」です。はじめてスカイラインにRBエンジンが搭載されたのはR31で、R32~R34ではメインユニットとして採用されました。こちらでは、スカイライン・GT-R買取日本一を目指しているスマイルワークスがRB20/25/26のターボモデルを中心にご紹介します。
RB20DET
R31スカイラインから採用された直列6気筒ツインカムエンジン「RB20」。バリエーションは、SOHC12バルブのNA(RB20E)およびターボ(RB20ET)、DOHC24バルブのNA(RB20DE)およびターボ(RB20DET)などがありますが、こちらではツインカム+インタークーラー付きターボのRB20DETを中心にご説明します。
RB20DETは、R31からR32を中心に搭載された2L直列6気筒ターボエンジンです。ボア×ストロークは78.0mm×69.7mm、排気量は1998ccとL20と同様。L型エンジンの設計思想を反映していることわかります。
基本スペック【スカイライン・タイプM(HCR32)最終モデル】
基本構成 |
直列6気筒DOHC24バルブ シングルターボ |
最高出力 |
215ps/6400rpm |
最大トルク |
27.0kgm/3200rpm |
総排気量 |
1998cc |
ボア×ストローク |
78.0mm×69.7mm |
圧縮比 |
8.5 |
燃料供給システム |
EGI(ECCS)電子制御燃料噴射装置 |
燃料 |
ハイオク |
燃費 |
9.5km/L |
RB20DETの分類
RB20DETは世代によって「前期赤ヘッド」「中期赤ヘッド」「後期黒ヘッド」に分類されます。こちらでは、それぞれの基本的な違いについてご紹介します。
|
前期赤ヘッド |
中期赤ヘッド |
後期黒ヘッド |
搭載車両 |
R31前期モデル |
R31後期モデル |
R32 |
特徴 |
赤いカムカバーが装着された初期モデル。
インテーク側に可変吸気ツインポートを採用。 |
赤いカムカバーなど外観は前期モデルと同様だが、内部は後期モデルに近い。
インテークをシングルポート化。
サージタンクを大容量化。
センサー電圧を7Vから5Vに変更。
スロットルセンサーを追加。 |
プラグカバーを黒、カムカバーをシルバーに変更。
基本的なスペックは中期赤ヘッドと同様。 |
限定800台のみに搭載「RB20DET-R」
グループAホモロゲーションを取得するため、限定800台のみが生産されたR31スカイラインGTS-R。そんな特別なマシンに搭載されたエンジンがRB20DET-Rです。ステンレス製の等長エキマニやギャレット製TO4Eハイフロータービン、大容量インタークーラーなどを装備。最高出力は210ps/6400rpmで最大トルクは25.0kgm/4800rpmを発生しています。
RB25DET
R33スカイラインから本格的に採用された2.5Lの直列6気筒ユニットが「RB25」です。バリエーションはNAの「RB25DE」とターボの「RB25DET」。NAモデルはR32の後期モデルから採用され、ターボモデルはR33から搭載されました。また、前期モデルと「NEOストレート6」と呼ばれる後期モデルが存在。後期モデルでは当時の国内自主規制いっぱいとなる280psを発生しています。
基本スペック
|
RB25DET前期モデル ※スカイラインGTS25t タイプM (ECR33) 1993年8月モデル |
RB25DET後期モデル [NEOストレート6] ※スカイライン25GT (ER34) 2000年8月モデル |
基本構成 |
直列6気筒DOHC24バルブ シングルターボ |
直列6気筒DOHC24バルブ シングルターボ |
最高出力 |
250ps/6400rpm |
280ps/6400rpm |
最大トルク |
30kgm/4800rpm |
37kgm/4800rpm |
総排気量 |
2498cc |
2498cc |
ボア×ストローク |
86mm×71.7mm |
86mm×71.7mm |
圧縮比 |
9.0 |
9.0 |
燃料供給システム |
EGI(ECCS) 電子制御燃料噴射装置 |
EGI(ECCS) 電子制御燃料噴射装置 |
燃料 |
ハイオク |
ハイオク |
燃費 |
10.2 km/L |
10.6 km/L |
成熟の域に達したRB25~ネオストレート6~
RBエンジン搭載の最終モデル「ER34」から採用された、新設計のRB25DETネオストレート6エンジン。従来モデルから70%以上が新設計となり、可変バルブタイミング機構「NVCS」を採用したことで国内自主規制いっぱいの280psに到達しました。さらに最大トルクも37.0kgmとなり、全域でトルクフルな走りを実現。エンジンカバーには「NEO STRAIGHT 6」という刻印が入っています。
RB26DETT
RBエンジンを語るうえで欠かせない存在、それがGT-Rのために誕生した名機RB26DETTでしょう。第2世代GT-R「BNR32」専用エンジンとして登場した直列6気筒エンジン+ツインターボユニットは、国産車では珍しくノーマルで多連スロットルを装備し、ノーマルで最高出力280ps、最大トルク40.0kgmを発揮。ブーストアップで400psオーバー、タービン交換などのチューニングで600ps、800ps、1000psといった仕様も登場し、チューニングシーンをけん引する存在になりました。その後、RB26DETTはBNR34まで採用され、今もなお高い人気を誇っています。
2.6Lという中途半端な排気量のワケ
~レースで勝つために生まれたエンジン~
日本の自動車税は500cc刻みに金額が変わるので、通常なら2.5Lもしくは3Lが一般的です。実際にライバルとなるトヨタの1JZは2.5Lで2JZは3L、ホンダのNSXは3L(後期型は3.2L)ですが、RB26DETTは2.6Lという中途半端な排気量を採用しています。その理由は、「レースで勝つ」というGT-Rの宿命の中に隠されています。
当時、GT-Rが参戦予定だった全日本ツーリングカー選手権(JTC)は、グループA規定のもとで行われていました。そのレギュレーションでは排気量ごとにクラスわけされ、クラスごとに最低重量と最大タイヤ幅が決定。さらに過給機付きの場合はNAとの差を埋めるために1.7倍で排気量を換算されます。
当初GT-Rは、2.35L+ターボという仕様で参戦予定でしたが、4WDシステム「アテーサE-TS」をはじめ、もともと重量のある鋳鉄製のエンジンなどもありクラス最低重量を大幅に上回ってしまうと判断。さらに想定していた600ps仕様ではタイヤのキャパシティ的にもきびしいため、排気量を増やしてクラスを上げたという経緯があります。レースで勝つために生まれたエンジン、それがRB26DETTなのです。
基本スペック
|
BNR32搭載エンジン ※1993年2月モデル |
BCNR33搭載エンジン ※1997年2月モデル |
BNR34搭載エンジン ※2000年10月モデル |
基本構成 |
直列6気筒 DOHC24バルブ ツインターボ |
直列6気筒 DOHC24バルブ ツインターボ |
直列6気筒 DOHC24バルブ ツインターボ |
最高出力 |
280ps/6800rpm |
280ps/6800rpm |
280ps/6800rpm |
最大トルク |
36.0kgm/4400rpm |
37.5kgm/4400rpm |
40.0kgm/4400rpm |
総排気量 |
2568cc |
2568cc |
2568cc |
ボア×ストローク |
86mm×73.7mm |
86mm×73.7mm |
86mm×73.7mm |
圧縮比 |
8.5 |
8.5 |
8.5 |
燃料供給 システム |
EGI(ECCS) 電子制御燃料噴射装置 |
EGI(ECCS) 電子制御燃料噴射装置 |
EGI(ECCS) 電子制御燃料噴射装置 |
燃料 |
ハイオク |
ハイオク |
ハイオク |
燃費 |
8.2km/L |
8.1km/L |
8.1km/L |
NISMO400R専用エンジン「RB-X GT2」
ニスモが限定99台で販売し、55台のみが生産された「NISMO400R」に搭載された、2.8L仕様のRB26DETT。レイニックの手によるチューニングで排気量は2771ccまで拡大され、N1タービンなどを組み込み400psを発生します。また、日産プリンス神奈川がRB-X GT2と同じクランクシャフト&コンロッドを使い、R33後期RB25DETをチューンした「RB-XII」というエンジンも存在します。こちらは日産プリンス神奈川の限定車「280 TYPE MR」のみに搭載されています。
RBエンジン×チューニング ~多彩なメニューが魅力~
RBエンジンの魅力、それは多彩なチューニングメニューではないでしょうか? RB20DETなら2.3Lや2.4Lへの排気量アップ、RB25DETやRB26DETTへの換装、さらにピストン・コンロッド・クランクシャフトなどを変更して2.8Lに排気量アップ、いざとなれば輸出用のRB30のエンジンブロックを使うこともできますし、タービンもポン付けからビッグシングルまで選び放題です。
純正パーツも流用しやすく、アフターパーツも豊富なので自分好みの仕様を追い求めることが可能。さらに鋳鉄製のエンジンブロックは強度も高く、チューニングへの適応性は文句なし。いまだにストリートはもちろん、サーキットやドリフト、ゼロヨン、最高速などのシーンで活躍しています。